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【2021年最新版】「配偶者居住権」とは?「法務局での遺言書保管」についても解説


このコラムの要点をサクッと解説

? ギモン
配偶者居住権とは具体的にどんな内容?
A. コタエ
「配偶者居住権」とは、被相続人の死亡後、配偶者がその家に住み続けられる権利。「法務局での遺言書保管」とあわせ、相続対策は早めに行おう。

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2019年から段階的に変更されている、相続に関する法律。この中でも二つの法律は今後の生活に関わってくる方も多いと考えられますので、ぜひ今回、紹介させてください。

ひとつが「配偶者居住権」の新設。もうひとつが、「法務局における自筆証書遺言の保管制度」の新設についてです。

ありがとうございます! とはいえ、なぜその二つなのでしょうか。なにか関連が…?

そうですね、今回この二つを選んだのは、どちらも相続に関わるものだからです。どちらも「早めの準備でスムーズに相続できる」という点が共通点でしょう。

ではまず、「配偶者居住権」から解説していきましょう。


「配偶者居住権」とは、被相続人の死亡後、配偶者がその家に住み続けられる権利

配偶者居住権とは

ではさっそく、配偶者居住権について解説しましょう。

配偶者居住権の新設

施行日:2020年4月1日(水)

概要:被相続人が死亡した場合、相続が発生する前から一緒に住んでいた配偶者は(配偶者所有権を取得していた場合において)被相続人が所有していた建物に住み続けることができる。

ええと、これは…例えば「被相続人」をご夫婦のうち、旦那さんとします。その旦那さんが先立ってしまった場合に、その配偶者である奥さんが、旦那さんと一緒に住んでいた家に、死亡後もまだ住み続けられる、ということでしょうか…?

そうです。被相続人が旦那様で、その相続権を奥様が持っている。そして奥様が持ち家などの建物を相続する場合、そう例えることができますね。
ところで、なぜこういった法律が作られたんだと思いますか?

なぜ作られたのか…ですか? 難しいですね…

先ほど例にもあげていましたね? 「旦那さんが先立ってしまった場合には」と。この場合、奥様が抱える課題には何があるでしょうか?

奥さんが抱える課題…もしかして、収入でしょうか?

そうですね! 夫婦共働きが増えたとはいえ、ご高齢になるほど専業主婦を選択されている奥様も多いでしょう。そうなると、「家はあるものの、これからの収入に不安がある」という方が多いんです。

そういった時の救済措置として、この「配偶者居住権」が新設されたんです。


配偶者居住権を適用しない場合のトラブル事例とは?

配偶者居住権を適用しない場合のトラブル事例

そもそも、以前はこれがなかったということは…例えば、奥さんが旦那さんの家を相続できずに困っていた、ということでしょうか?

そういうことも多かった、ということです。遺産を相続する場合、その権利をもつ「全員が同意」しなければなりません

しかしまれに、この遺産の取り分などで揉めることがありますよね。

たとえば

  • お母様とお子様で、被相続人の自宅である不動産の登記名義人を共有名義にすることに抵抗がある

もしくは

  • お母様一人で広い家に住んでいると、お子様としては病気・怪我が不安だから、相続した不動産を売却して都心に移り住んでほしい。しかしお母様はそれを拒んでいる

ということもあります。

今までの法律では、お母様がどうしても住み続けたい場合は、建物の所有権を相続した他の相続人らとの間で賃貸借契約を締結し、お母様が賃料を支払う必要がありました。

もしそれができなければ、すぐに立ち退かなければならなかったのです。

遺産相続・引っ越し

こうやって相続内容が決まらないと、お母様、つまり被相続人の奥様が家の相続を確定できませんね。

そうなると、自宅を売却しないと法定相続分に応じた遺産分割ができず、結果、別の不動産に移り住まざるを得なくなる、という場合も多かったんです。

それは大変だ…生活費の課題に加え、引っ越しなども負担がかかってしまっていたんですね。

はい。高齢者の方で働きに出てもいない場合ですと、賃貸だとしても審査が難しいですし、そもそも住み慣れた場所を離れたくない、と思うのが普通ですよね。

そういった場合に、現在の家で今までどおりの生活を送れる権利を保障してくれるのが、この「配偶者居住権」です。

ということは、相続などが確定していなくとも、まず奥さんは「一定期間、住み慣れた自宅に住み続けられる」んですね?

そうです。相続の取り分の決定事項などはさておき、まず配偶者の「住む権利」を守るのがこの法律ですね。


配偶者居住権のポイント

配偶者居住権のポイント

他にも配偶者居住権には、以下のようなポイントがあります。

  • 配偶者居住権の期間は、配偶者の任意で設定できる
  • 配偶者は相続時に同居していた人物に限る(別居していた夫婦では認められない)
  • 建物の権利が夫と妻の共有の場合、配偶者居住権の設定は可能
  • その他の権利者(子供など)との共有になっている場合は、配偶者居住権を設定できない
  • 配偶者居住権の売却・相続は不可(配偶者の死亡時に消滅する)

なるほど、本当に「ずっと一緒に住んでいた配偶者を救済する」ためにあるんですね。この配偶者居住権ですが、法律施行後、自動的に付与されるものなんでしょうか?

いいえ。これは注意したいポイントのひとつなのですが、配偶者居住権は登記簿謄本に登記しないとダメなんです。

相続に合わせて、配偶者居住権の法務局に登記をする必要があるんですね。

そうです。そこでもう一つの「法務局における自筆証書遺言の保管制度」の新設に話がつながってくるんですよ。

もしかして、「どのように相続するかをあらかじめ決めておく」ことに、ということでしょうか…?

そうです。ではこの制度についても解説しましょう。


法務局に遺言書を保管すると、様々な手間が省ける

法務局に遺言書を保管する

この「法務局における遺言書の保管などに関する法律」は、2020年7月10日に施行されます。

法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

施行日:2020年7月10日(金)
概要:
自筆証書遺言を作成した方は、法務大臣の指定する法務局に、遺言書の保管を申請することができます。
遺言者の死亡後、相続人や受遺者は全国の保管所にて保管の有無(遺言者保管証明書の交付請求)や遺言書の閲覧などが可能になります。

自筆証書遺言は、これまでは自宅で保管していました。そして作成した人が亡くなった場合、それを家庭裁判所を通じて検認を行うのですが、この手続がとても煩雑であることが課題のひとつでした。

手続きが煩雑だと、具体的にどういった影響が出るんでしょう?

相続税の納付は、死亡後10ヶ月ですから、いくら支払う必要があるのかなどを早く知る必要があります。そういった時に煩雑な手続きがあると、準備が十分にできないこともありますよね。

確かに。文字で見る10ヶ月は長く感じますが、実際は本当に早く過ぎるでしょうし…

またこの制度を用いて自筆証書遺言を法務局に保管する場合は、書式が決められています。そうなると「自筆による不備」を防ぐこともできます。

自筆による不備ですか…?

まず、2019年の1月13日に、自筆証書遺言についても緩和が行われたんです。それまではかならず全文、手書きする必要があったんです。

しかしこの遺言書の中では、財産目録などの数字も手書きしなければなりませんでした。通帳のコピーすらダメだったんです。

それは不備が起きかねませんね…!

それを緩和することで、作成の負担が減りますよね。それに自宅に保管していると、あまり考えたくないことではありますが、遺言書改ざんのリスクも考えられます。

その点、法務局のフォーマットにのっとった財産目録には署名捺印が必要になりますから、偽造防止にもなるんです。


被相続人の意見をまとめ、スムーズな相続を行うために

新しい法律を活用することで、遺言書作成・確認における手間を減らし、遺言書の正当性も確保できるんですね。

そうですね。そしてこの遺言書を活用したい項目の一つに、先ほどの「配偶者居住権」もありますね。

なるほど、そう話がつながるわけですね! 確かにどちらも「前もって被相続人の意見を取りまとめ、準備をしておく」という共通点があり、これが相続全体の負担を軽減することになります。

そうです。物事を共有しておくというのは案外難しいものです。しかし揉め事というのはそういう決めていなかった・知らなかったという点がきっかけで起こるものでもあります。

そういった不要な揉め事を極力防ぎ、残された人たちがスムーズに相続の手続きが行える、その一助となるのが遺言書であり、新しく設けられた「配偶者居住権」の登記だったりするんです。

相続のトラブルを回避

そのためにも、まずはご自分がどんな資産価値を持っていて、それをどうしていきたいかを考える必要もありますね。

そうですね。不動産の評価を知る・把握するなどして総資産を確認することで、ご自身とご家族のことを考えてみるきっかけになるのではないかと思います。

慌てず、不要な争いを起こさず、スムーズに暮らしていく知恵が法律だとも言えますね。井口さんはFP(ファイナンシャルプランナー)の資格もお持ちですから、こういった相談にも乗っていただけるんですよね?

もちろんです! 私のほうで要件整理をして、法的な対応が必要な場合は、弁護士さんと連携をして相続対策をご提案しています。

相続対策は、全資産の評価を確認するところから始まります。不動産だけでなく、他の金融資産を含めた相続対策コンサルティングも提供していますので、ぜひお気軽に相談いただきたいと思います。

ありがとうございました!

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この記事の監修者

井口 忠二

公認不動産
コンサルティングマスター

井口 忠二

Tadaji Inoguchi

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株式会社アスパートナー代表取締役。
福岡県出身。明治大学商学部卒。グロービス経営大学院経営学修士(MBA)修了。
大手不動産会社に入社し、売買仲介営業を経験。東京23区エリア営業トップセールスを2年連続受賞。その後、不動産の売買賃貸仲介・管理・コンサルティングをワンストップで対応する株式会社アスパートナーを経営。売買仲介成約件数700件超。

Licenses and Certifications

宅地建物取引士
ファイナンシャルプランナー
相続士
相続診断士
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
経営学修士MBA
損保トータルプランナー(損害保険最上位資格)
不動産キャリアパーソン