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【2021年最新】不動産購入後の瑕疵担保責任の範囲とは?
このコラムの要点をサクッと解説
- ? ギモン
- 不動産を購入したあとにはどんなトラブルが考えられる?「瑕疵担保責任」の範囲はどこまで?
- A. コタエ
- 中古不動産を購入後、買主・売主双方が知らない瑕疵(不具合)が見つかった場合は、売主側の責任で補償がされ、これを瑕疵担保責任と呼ぶ。トラブル回避のコツは、売主からの資料の確認をしっかり行うこと。「住宅瑕疵担保責任保険」制度もあるため、不動産仲介会社に確認してみよう。
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こんにちは、2Line2スタッフです。
雨漏りがすることに気づいた、給水管が故障しているなど、不動産の購入後にも思わぬトラブルに見舞われることがあります。
今回はこのような「契約の時点では売主・買主の双方が知らなかった不具合(瑕疵)」についてどのように対応すべきかを、公認不動産コンサルティングマスターである井口さんに伺いました。
瑕疵担保責任とは「売主が買主に対して責任を負うもの」
まず「瑕疵担保責任」とは何なのか、解説をお願いします。
瑕疵担保責任って、単語が難しいですよね。これは、購入した中古物件に、雨漏りやシロアリの被害などといった、外部からは簡単に発見できない欠陥、つまり「隠れた瑕疵」がある場合、買主に対して売主がその責任を負うことを指します。
隠れた瑕疵(不具合)なので、売主も売却時には把握しておらず、実際に居住して初めてわかるものなんです。
なるほど、お互いに気づいていなかった部分での不具合ですか。
しかしこのような問題点が発見された場合、買主は売主に対して、補修費用の損害賠償を請求することができます。
さらに瑕疵が重大であり、契約をした目的(居住・事務所・店舗といった用途に使用するなど)を果たせない場合には、契約を解除し、損害賠償を請求できる権利が、買主にはあります。
この買主への責任を、売主が負ったものを「瑕疵担保責任」と呼ぶのです。
しかし、事前に把握できなかった隠れた部分だとしたら、たとえばどのような場所が対象になるんでしょうか?
主に建物と土地に分けられますので、それぞれの具体的な例を見ていってみましょう。
建物の場合
- 雨漏り
- 白アリによる被害
- 給排水管の故障や亀裂等による漏水、不具合
土地の場合
- 土壌汚染
- 軟弱地盤
- 前建物の瓦礫や、防空壕・不発爆弾などの地下埋設物
ほかにも、建物の構造上主要な部位の腐食や、現在は使用していない井戸なども責任範囲に含まれます。
瑕疵担保責任の期間は、売主の形態によって異なる
瑕疵担保責任が適用される期間は、売主が個人なのか、法人なのか、または宅地建物取引業者なのかによって異なるんですよ。
そうなんですか! ちなみにどのくらいの差があるのでしょうか?
- 個人…3ヶ月〜6ヶ月
- 法人…1年(消費者契約法を考慮して設定)
- 宅建業者…2年(宅地建物取引業法による)
このようになります。このうち宅地建物取引業者とは、不動産業のうち、売買や仲介といった取引流通を取り扱う業種のことを指します。
なるほど、売主がどれに該当するかで対象の期間が大きく変わりますから、購入する際はそこにも気をつけたほうが良いですね…
不動産購入時のトラブルを避けるためには?
瑕疵担保責任は基本的に売主側が負うものです。ただ、それに応じて修理・修繕の実施を行うほか、売買契約を解除して、瑕疵担保責任によって損害賠償、かつ、契約の解除になることもあります。
損害賠償、かつ契約解除ですか…!
ええ。そのため、購入する際には以下のような点に注意しておくことが重要です。
こちらも建物の場合、土地の場合に分けて、瑕疵担保責任に関する購入時のポイントを見てみましょう。
建物の場合は報告書&設備表を確認!
物件案内時には、売主が作成した物件状況報告書や設備表をしっかり確認しましょう。現在から過去に至るまでの雨漏りや白アリ被害状況、給排水管の漏水トラブルなどをヒアリングし、現地の状況も含みます。
また、インスペクションを行うのもオススメですね。
インスペクションとは…?
また建築士などに依頼し、建物の調査を実施することです。劣化状況や補修が必要な項目、リスクなどを洗い出してもらえるので、その上で物件の購入を判断できます。
ただ、この場合は買主さんがご自身で費用を負担することになります。
そうなんですね。とはいえ、購入後に突然、不具合が見つかったとなるよりは、先に調べて安心するほうが良い気がします。
そうですね。購入後に突発的なリフォームが発生すると、その期間の生活も不便でしょうし、費用も余計にかかります。
そう考えると、先に投資をしておいて先々の出費を防ぐ、とも言えますね。
次は土地についてです。
土地の場合は、周囲へヒアリング!
土地については、売主さん、または近隣の住人の方々から、購入したい土地が過去どのような用途に利用されていたかをヒアリングすると良いですね。
以前もお話しされていましたが、土地が土壌汚染されているかどうかを確認するためでしょうか?
その通りです。その際にもお話ししましたように、特に工場、クリーニング店、染色店などであった場合は、土壌汚染対策法で禁止されている物質が水や土地に浸透しているおそれもあります。
まずは仲介する不動産会社にしっかりとヒアリングをしましょう。もし金銭的な余裕があるならば、土壌汚染調査を行う企業などに調査を依頼するのもおすすめです。
不動産購入時には「住宅瑕疵担保責任保険」を検討しよう
ここまで話をすると不安に思われるかもしれませんが、住宅の瑕疵に対して保険金が支払われる制度があるんですよ。
保険金ですか!
そうなんです。「住宅瑕疵担保責任保険」と言います。
新築住宅を供給する事業者には、住宅の引き渡しから10年間の瑕疵保証責任が義務付けられています。ところがもし、この事業者が倒産してしまったとしましょう。そしてさらにその後、瑕疵が見つかったとします。
この場合の解決策として用意されているのが「住宅瑕疵担保履行法」という法律です。
買主さんが加入するのではないんでしょうか?
はい、買主さんではなく、あくまで住宅事業者ですね。ですから、基本的には買主さんが保険料を支払う必要もありません。
ただ、住宅の価格に保険料金を含めることも可能です。ですから契約時に保険が適用されているか、またその保険料がどのように負担されているかをしっかり確認しておくことをオススメします。
なるほど、買主さんがご自身で確認すべき点は保険料がどのように負担されているかという点なんですね。
中古住宅に関しては、「既存住宅売買かし保険」があります。
それぞれの詳しい保険内容については、下記の住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページに掲載されていますので、ぜひ参考にされてください。
住宅瑕疵担保責任保険協会
https://www.kashihoken.or.jp/既存住宅売買のかし保険
https://www.kashihoken.or.jp/insurance/
まとめ:契約前のチェックで、不動産購入後のトラブルを防ごう
今回覚えておくべきことは、「物件の購入後、不具合が見つかることが少なからずある」ということですね。
そうですね。普段生活しているだけではわからない不具合が見つかる場合もあるということです。
それを防ぐためにも、売主が用意する物件状況報告書や、設備表などの資料をしっかりチェックすること。そして、ヒアリングなどで気になる点がある場合は、専門家による調査を取り入れることを検討するということが重要ですね。
住宅瑕疵担保責任保険という制度があるというのも安心しました。
そうですね。こういったものをきちんと活用し、新しい生活をスムーズに送れるようにすることが良い不動産取引のポイントと言えるでしょう。